一般社団法人 全国青果卸売市場協会



令和3年度事業計画

 中国に端を発した新型コロナウイルス感染症は、世界中に猛威を振るい、我が国においても、マスク着用、手洗い、消毒の徹底、更には各種イベントの中止等に加え、2度の緊急事態宣言により、不要不急の外出自粛、テレワークの導入等あらゆる対策を講じているが、まだ終息の兆しが見えてきていない状況にあり、今後の社会の在り方まで変わる可能性がある。
 このような情勢の中で、青果業界を取り巻く情勢は、少子高齢化に伴う人口減少の進展による食料品の国内需要の増大は、期待できない状況にある一方、消費者・実需者ニーズの多様化、農産物の国内生産・流通構造の変化など大きく変化してきている。
 異常気象の影響や高齢化に伴う生産農家の減少が、青果物の生産に影響を与えてきており、令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の影響が懸念されたが、家庭における巣ごもり需要等により、青果卸売業界は比較的好調に推移した。
 昨年(2020年)6月21日に改正卸売市場法が施行されたが、地方卸売市場としての認定は200社程度減少した。今後は、各市場が新制度の趣旨に即した活動を展開することとなるが、国の関与は必要最小限に止めるとしており、我々地方卸売市場にとって取引の実情に応じて、卸売市場の活性化を図るために、どのような取引を行っていくのか議論を行っていく必要がある。
 しかし、卸売市場法等がどのように見直しが行われようとも、地方卸売市場はこれまで同様に、産地市場としての強みを活かした経営戦略を基に、生産者手取り向上と自らの強い経営づくりの為に行動を起こすことが大切である。
 また、改正食品衛生法により本年6月から、HACCPの考えを取り入れた衛生管理が、青果物流通全体に義務付けられるが、本年はその対応に向けて今後しっかりと準備していかなければならない。
 そのための関連情報を収集し会員へ提供を行うとともに、地方卸売市場にとって明るい展望が開けるように前向きに取り組んでいくこととする。
 引き続き地方卸売市場が青果物の安定供給の使命を果たし、青果物流通の中核的地位を確保していくためには、食に対するニーズの変化への的確な対応や消費者の安全・安心への信頼確保、品質管理の高度化などに取り組むとともに、地域農業の振興を支援し、自らの経営の健全化と活力ある市場流通の形成に積極的に取り組むものとして、下記の諸事業を重点的に実施する。

  1. 活動の重点
    (1) 改正卸売市場法に関する情報収集に努めるとともに、具体的な取扱ルールに対して地方卸売市場として積極的に対応する。
    (2) 地方卸売市場の施設整備の予算措置及び交付対象施設・交付率等の充実を国に要望する。
    (3) 卸売業者の経営体質の強化と市場活性化に向けて、統合・合併、業務提携等による体力強化を図るとともに公正・効率的な売買取引確保に努めるものとする。
    (4) 地域農業の振興を支援し、地域に密着した地場流通の要となる流通モデルの構築に全力を傾注する。

  2. 恒常的事業の継続実施
    (1) 全国大会開催事業
     生産者と消費者の結節点に位置する卸売市場に課せられた社会的使命を果たすため、毎年全国大会を開催してきたが、新型コロナウイルス感染症が終息しない中、昨年に続き、本年も中止とする。
    (2) 調査研修事業
    @ 全青協・市場活性化研究会
     卸売市場を取り巻く環境の変化に対応し、卸売市場の活性化・発展方策、経営健全化方策を研究するため、市場活性化研究会を開催する。
    A 食品等物流業務効率化事業
     農産物等の物流におけるパレットの導入を促進するため、生産者・生産者団体、農産物等の流通事業者、物流事業者等の関係者が連携して、共同でパレットの利用・管理等を行うためのルールや運用手法を策定し、これに基づく運用実証及び導入普及の取り組みを推進するため、全青協では、(一社)農産物パレット推進協議会に参画。運用実証を行う中で判明した課題等を踏まえ、より効率的かつ効果的なものに改善すると共に、全国的な取組となるよう普及活動を行う。
    B 全国地方卸売市場等青果卸取扱高調査事業
     地方卸売市場の基礎資料とするため、前年度に引き続き、(株)農経新聞社と共同で青果卸売会社の取扱高について調査を実施する。
    (3) 情報化推進事業
     青果物取引に情報化を推進し取引の迅速化、事務処理の合理化を図り消費者ニーズに即した新鮮で多種多様な青果物を安定的に供給する。
    @ 青果物流通情報処理協議会及びベジフルネット利用者協議会
     青果物流通情報処理協議会に参画し、卸売市場取引において日々発生する出荷情報や売立て・仕切情報の交換、受発注、代金決済など、電算処理の合理化を図るための青果物統一品名コードの設定を行う。
     また、ベジフルネット利用者協議会は、平成30年10月から第4期システムに移行したが、平成35年からスタートする第5期開発検討部会を令和3年2月に開催し、検討部会の進め方、第5期検討スケジュール、現状の課題等について検討した。
     引き続き、検討委員会、理事会に参画し、検討状況を踏まえて、ベジフルネットの第4期システムの円滑な推進とともに、第5期システム開発の検討が円滑に取り進められるように対応する。
    A 生鮮取引電子化推進協議会
     生鮮取引電子化推進協議会((公財)食品等流通合理化促進機構)は、生産から卸、仲卸、小売までを含めた流通全体の情報化を推進するため、設定した青果共通商品コードやEDI標準メッセージに、青果物流通情報処理協議会の青果物統一品名コード等を採用していることから、生鮮取引電子化推進協議会との連携を密にして青果物流通全体の取引の迅速化、事務処理の合理化を推進する。
    B 全青協ホームページの維持管理
     青果物統一品名コード、機関誌の発行情報、総会・理事会のお知らせ、研究会の報告等、全青協の動きを適時発信する。
    (4) 卸売市場調査研究助成事業
     会員が卸売市場の活性化等に関する委員会、検討会、研究会の開催、及び卸売市場の役職員の資質の向上を目的とした勉強会、研修会、講演会の開催、並びに消費者等を対象として行う食のイベント、表示等に関する講演会、市場と市民の交流会等の開催に要する経費の一部を助成する。
    (5) 機関誌刊行事業
     卸売市場の取引の適正化、経営の健全化等に関する取組を促進するため、卸売市場の近代化、青果物流通の近代化等に関する情報を内容とする機関誌「全青協」を発行する。
    (6) 福利厚生事業
    @  卸売市場の従業員の福利厚生に資するため、労災上乗せ補償制度への加入促進及びグループ保険・団体総合生活補償保険への加入促進に努める。
    A  確定拠出年金制度については、平成28年10月1日から全青協を代表事業主として制度運用を開始し、平成30年10月から個人が掛け金を設定できるマッチング制度を導入。引き続き適正な運営に取り組むと共に、卸売市場の従業員の福利厚生に資するため、加入促進に努める。

  3. その他の事業
    (1) 市場近代化事業
    @ 卸売市場施設整備に係る融資制度
     卸売市場施設及び卸売業者の業務の近代化、並びに卸売市場の機能高度化を図るために必要な施設整備について、株式会社日本政策金融公庫食品流通改善資金の活用を推進する。
    A 食品販売業近代化事業に係る構造改善計画の策定
     会員傘下の卸売市場が、(公財)食品等流通合理化促進機構の「食品等流通合理化緊急対策事業」(リース方式等による設備・機器の導入)を活用して卸売市場の近代化を行う場合には、事業実施に必要な構造改善計画の策定、農林水産大臣への申請等の事務を行う。
    (2) 食品産業優良企業表彰事業
     会員傘下の卸売市場が、(公財)食品等流通合理化促進機構の実施する「食品産業優良企業表彰事業」に申請する場合には、必要な推薦書の作成、受賞申請等の事務を行う。

  4. その他
    (1) 全青協の組織拡充のため、全青協を退会した県連傘下の地方卸売市場及び全青協の活動に賛同頂ける関係者に対する賛助会員への参加を呼びかける。
    (2) 改正卸売市場法、関連情報及び優良事例の収集に努め、会員企業への啓発に資する。
    (3) 消費税増税時に導入する軽減税率制度に関する情報の収集・発信に努める。
    (4) 卸売市場関係予算の確保、 税制適用延長等に努める。
    (5) 青果物の放射性物質の検査結果及び出荷制限の指示等の迅速な提供に努める。


関係書類の閲覧

事業計画と収支予算書を閲覧できます。
下記のリンクをクリックしてください。

令和3年度事業計画